犬の「舐める」行動が気になる!どんな気持ちなの?

 犬と生活していると「舐める」ことはよく見かけますよね。ドッグペアレントの顔や体を舐めてきたり、犬自身の体を舐めていることも。特に犬が舐めて甘えてくる様子が可愛くてたまらないという方は多いのではないでしょうか?

 よく見かける光景ですが、犬は「舐める」ことで様々な感情表現をしているといわれています。ドッグペアレントへの愛情表現や、時にはストレスを感じて舐める行動をすることもあるのです。犬の気持ちを少しでもわかってあげることができたら嬉しいですよね。

 今回は犬が様々なものを舐める理由や、その時の犬の気持ちについてご紹介します。


犬がドッグペアレントを舐める理由

 犬が顔や体を舐めてくることがありますが、実は舐める部位によって意味が異なります。犬が舐めてくる人間の部位別に犬の気持ちをご紹介します。


顔や口元を舐める場合

 犬は相手への敬意を示すために顔や口元を舐めるといわれています。ドッグペアレントへの信頼の表れですね。

 また、愛情表現として舐めていることもあります。しっぽを振り回しながら嬉しそうな様子で、ドッグペアレントのことが大好き!という抑えきれない気持ちを行動で示してくれます。

 口元を特に舐めてくる場合は、ご飯が欲しいと催促していることも。子犬の頃は母犬が口で噛み砕いたご飯を口移しでもらって食事をします。そのことから、子犬時代は母犬の口元を舐め、お腹が空いたことをアピールしていたようです。その名残で、ご飯を催促するときにドッグペアレントの口元を舐めてきます。

 

手や腕を舐める場合

 ドッグペアレントの腕や手を舐めてくる場合は、甘えたい遊んで欲しいとアピールしていることが多いです。撫でてくれたり、おもちゃで一緒に遊んでくれるドッグペアレントの手は、犬も愛着を持っている大好きな場所。こっちを見ながら犬が手や腕を舐めてきたり、鼻先でつついてくるような仕草をしたら、一緒に遊んで欲しいというサインです。

 また、大好きなドッグペアレントの手を舐めることで安心を感じていることもあります。


足を舐める場合

 手や腕を舐める場合と同じく、一緒に遊んで欲しいと足を舐める場合があります。また、ドッグペアレントの足の匂いが好きで舐めてくることも。犬は人の足のような匂いが大好きなので、それを好んで舐めているのかもしれません。


犬自身の体を舐める理由

 犬が自分の手足などを舐めている光景も目にしたことはありませんか?それにもいくつが理由があるのでご紹介していきます。


ストレスが溜まっている

 犬はストレスが溜まっていると、繰り返し自分の手足などを舐めてしまう場合があります。繰り返し舐め続けてしまうことで皮膚トラブルや自傷行為にまで発展してしまうことも。犬が自分の体をずっと舐め続けている様子に気づいたら、ストレスを溜めている可能性があります。犬の様子をよく観察してあげましょう。皮膚トラブルや出血などが起きていたら、早めに動物病院で診てもらってください。


かまってほしい

 犬が退屈していてかまって欲しい時に、自分の体を舐めてドッグペアレントにアピールする場合があります。過去に自分の体を舐めてドッグペアレントが反応してくれた経験から、遊んで欲しい時に自分の体を舐めるという行動を繰り返すこともあるようです。


皮膚の病気

 皮膚炎などが原因で体に痒みや痛みが出ているために自分の体を舐めていることもあります。繰り返し体の同じ部分を舐めている様子が見られたら何か皮膚の病気があるのかもしれません。舐めている部分に湿疹やできものなどがないかチェックしてください。


骨・関節の痛み

 骨や関節などが痛む場合も痛い部分を舐めることがあります。犬がいつもより歩きにくそうにしていたり、触ると唸り声をあげたりする場合は体に痛みを抱えているかもしれません。


犬同士で舐める理由

 犬同士でも舐め合っているのをよく見かけるかと思います。慣れ親しんだ同居している犬同士や、初めましての犬でも、犬同士で舐め合うことがありますよね。犬同士で舐め合うことにはどんな意味があるのでしょうか?


愛情を示すため

 慣れ親しんだ犬同士が舐め合っている場合は、愛情を示し絆を深めていることが多いです。舐め合うことで信頼を深め、仲間意識を高めるコミュニケーションを取っています。


遊びに誘っている

 一緒に遊ぼうよ!と他の犬を舐めて誘っていることもあります。遊びのお誘いの時は、横からや下から相手の口元を舐めることが多いです。


相手の情報を確かめるため

 初対面の犬のお尻の匂いを嗅いで、そのまま舐めることがあります。犬の肛門から発せられる匂いから相手の情報を得ようとして起こる行動です。しつこく舐めてしまうようなことがあった場合はトラブルに発展しないようにすぐに引き離してあげましょう。


モノを舐める理由

 例えば、自宅のソファやラグなどを犬が舐めているのを目にしたことはありませんか?ソファやラグに食べ物や飲み物がこぼれた時の匂いが残っていると、その部分を犬が舐めてしまうことがあります。衛生面においても、食べこぼしなどは匂いが残らないように綺麗に拭き取るようにしましょう。

 また、何かモノを舐めることでドッグペアレントの気を引こうと舐めている場合もあります。特に、過去にモノを舐めていて声をかけられたことがあったら、犬はそれをドッグペアレントがかまってくれた!と学習し、再び気を引こうとモノを舐めてしまいます。


犬の舐める行動の注意点

 犬が舐める理由は様々ですが、ドッグペアレントを舐めてくる場合は犬が愛情表現していたり、一緒に遊ぼうと要求していたりと、愛らしいものですよね。

 しかし、犬が人を舐める行動には注意しなければならないことがあります。犬の唾液には様々な菌が潜んでおり、中でも「パスツレラ菌」は人にも感染することがある細菌です。

 犬に舐められたことが原因で感染症を起こしてしまう可能性があるので、長時間顔などを舐めさせることは避けたほうがいいでしょう。また、疲れなどで免疫力が低下している人や、高齢者、小さな子供などは感染のリスクが高まってしまうので注意が必要です。


舐め癖はやめさせた方がいいの?

 たまに舐める程度なら特にやめさせる必要はないですが、舐めることが癖になり、1日に何度も舐めてきたり長時間舐めていることが多い場合は、舐め癖の改善を考えましょう

 犬が舐めてくるのを止めるときは、舐めてきた時に落ち着いた声で優しく「おすわり」などと指示を出し、止めてみてください。指示通り、舐めるのをやめてお座りしたら、たくさん褒めてあげましょう。大きな声で叱って止めるのはNGです。かまってくれたと勘違いして舐める行動がエスカレートする恐れもありますし、犬との信頼関係にも影響が出てしまうので気をつけてください。

 また、犬と一緒に遊ぶ時間を増やすことで、ドッグペアレントにかまって欲しいと舐めてくることを減らす効果があります。犬が満足するまで思いっきり一緒に遊んであげることも大切です。ストレス解消にもつながるので、犬が自分の体を舐める行動の予防にも繋がるでしょう。

 犬が舐める原因もわからず、舐め癖がなかなか改善できない時は、動物病院で獣医さんに相談することをおすすめします。


最後に

 犬が人を舐めたり自分の体を舐めたり、犬の「舐める」という行動には様々な意味が隠されていることがわかりました!

 犬が伝えようとしている愛情表現には、たくさん撫でたりして応えてあげてくださいね。何か犬の舐める行為で異変を感じたら、早めに動物病院で診てもらいましょう。

 犬の気持ちに寄り添って、お互い気持ちよくコミュニケーションを取っていきたいですね!